労務コラム③就業の場所・従事する業務の内容

2022-09-21

今回は労働契約の明示事項のうち「就業の場所・従事する業務の内容」について取り上げます。

 

就業の場所は、事業所が1箇所しかない場合は、特に引っかかる部分はないと思います。

複数の事業所(支店や店舗)がある場合は迷うことがあるかもしれません。

複数の場所で働くことが雇い入れ段階で決まっている場合は、場所についても複数箇所記載します。

最近増えているリモートワークについても、場所を記載します。自宅に限定するのであれば、労働者の自宅と記載しておきましょう。

 

働く場所は労働者の生活に大きな影響を及ぼします。

正社員のように長期での雇い入れを前提とする場合、雇い入れ時には予定していなかった別の事業所などで働いてもらう可能性もあるかもしれません。就業場所の変更(転勤)がありうる場合は、その旨を労働条件通知書通知書(または雇用契約書)に明記しておくようにしましょう。

 

就業の場所関連の通達では、平成11年1月29日基発45号があります。

これによると、労働条件通知書の「就業の場所」欄には,「雇入れ直後のものを記載することで足りる」とされていますので,原則として最初の勤務場所を書けば足りることとなっています。

ただし、先日、日経新聞で2023年中に労働基準法の省令が改正され、新たに労働契約を結ぶ際や再雇用時に「勤務地や業務内容を将来どのように変える可能性があるか」を明示ことになることが検討されているとの記事を読みました。  【→2023年4月追記・2023年4月にこの件について厚労省から案内がありましたので、詳細は労務コラム④に記載しました】

今後は、就業の場所や業務内容の記載にもより注意が必要となる見込みです。

 

業務内容も、現時点では入社直後に配属が予定されている業務の内容を記載することで問題ありませんが、業務内容の変更(配置転換)がありうる場合は、その旨を労働条件通知書通知書(または雇用契約書)に明記しておくようにしましょう。

 

社内制度として、勤務地限定正社員・職務限定正社員など多様な正社員の制度を作ることも検討できます

はっきりと区分けをすることで、待遇差についての社員の納得感に繋がります。

最近はテレワークも活用され、必ずしも転勤がマストではなくなって来ている中でも、やはり現場にいなければ成り立たない仕事や業種もある中で、会社としてどういった配置・配属、また転勤者の待遇をどのようにしていくか、より深く考えていかなければいけない時代になって来ていると感じています。

働き方が大きく変わっていく中で、「就業の場所・従事する業務の種類」の項目一つ取っても、色々と考えなければいけないことがありますね。

また、次回も労働契約の明示事項の中から一つテーマとして取り上げて書いてみたいと思います。

 

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