企業のハラスメント防止対策

2021-10-15

職場のパワーハラスメントについて2020年6月1日から(中小企業は2022年4月1日から)、パワーハラスメント防止のために雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となっています。

職場におけるパワーハラスメントとは、職場において行われる
優越的な関係を背景とした言動であって、
業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③ 労働者の就業環境が害されるもの
であり、①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。

さて、雇用管理上必要な措置とはどういった措置でしょうか。

事業主が雇用管理上講ずべき措置として、主に以下の措置が
厚生労働大臣の指針に定められています。
事業主は、これらの措置について必ず講じなければなりません。
(中小企業は施行日までは努力義務)
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■ 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
・パワーハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、
管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
・パワーハラスメントの行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること。

相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること。
・相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。
パワーハラスメントが現実に生じている場合だけでなく、発生のおそれがある場合や、パワーハラスメントに該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応すること。

■ 職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応
事実関係を迅速かつ正確に確認すること。
・事実関係の確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと。
・事実関係の確認ができた場合には、行為者に対する措置を適正に行うこと。
・再発防止に向けた措置を講ずること。

■ 併せて講ずべき措置 (プライバシー保護、不利益取扱いの禁止等)
・相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、労働者に周知すること。
・事業主に相談したこと、事実関係の確認に協⼒したこと、都道府県労働局の援助制度を利用したこと等を理由として、解雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。

詳細はこちらのPDFをご覧ください。(厚生労働省 都道府県労働局雇用環境・均等室 公開資料)
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最近では、ワクチン接種をめぐる所謂ワクチンハラスメントという話も耳しており、気になっているところです。接種を強く勧めることが先の①~③の要素となっていないか気を付ける必要があります。

コロナ自粛や情報過多による働く人々の疲れもあり、従業員のメンタル問題の相談も増えている印象です。
まずは相談窓口を設置し、職場での不安を気軽に声に出せる環境を整える必要があります。
話を聞いてくれる人がいるだけで、気持ちが和らぐことがあるので、こういったクッション的な場を設けることは侮れません。一人の不安の声が実は他の多数の声を代弁している場合もあります。

職場のトラブルは感情的な面から始まることが多いので、こういったソフト面にも気を配って小さな芽を早めにキャッチすることが、大きなトラブルの防止策になります。中小企業は来年の4月(施行)までに対策を進めて頂くようにお願いします。

 

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